「自分は保育士に向いていないのかも…」という悩み。
ほとんどの保育士が一度は抱いたことがあるのではないでしょうか?
私も保育士として働き始めてから、何度も悩んだ経験があります。
後輩保育士から「保育士に向いていない気がして」という相談を受けたことも少なくありません。
保育士に向いている人とはどんな人なのでしょうか?
反対に向いていない人とは?
実際に保育士として働き、たくさんの保育士と関わる中で私が実感した、保育士に向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。
保育士に向いているのはこんな人!
私が今まで出会ってきた保育士で「この人は保育士に向いているな」と思った人の特徴を紹介します。
子どもが好き!
保育士は子ども好きであることが大前提。子ども好きではなければ、勤まりません。
子ども好きだからこそ「子どもの成長にはどんな活動が必要なのか」「子どもが楽しく保育園に通うにはどんな環境を整えるべきなのか」子どもの立場で物事を考えられるんですよね。
大変な保育士の仕事を続けるには「子どもが可愛い」「子どもが好き」という気持ちが必要不可欠です。
臨機応変に対応できる人
子どもの様子はその時々によって違います。
例えば0歳児。同じように対応しても、昨日は泣き止んでくれたのに今日は泣き止んでくれないなんてことの繰り返し。
年齢に合った保育計画も、子どもの興味やその時のクラスの雰囲気によって活動が上手くいかないことも…。
そんな時に子どもの様子に合わせて対応方法や活動内容を臨機応変に変えられる人は、保育士に向いています。
私が尊敬している先輩に、とても素敵な保育をする方がいました。
その方の保育は、子どもの様子を瞬時に感じ取って活動の幅を広げていくのです。だから子どもが常に楽しそうでした。
私が保育士1年目の頃に「どうしてそんなに臨機応変に子どもと関われるのですか?」と尋ねたことがありました。すると「子どもの活動を決めつけないこと」との返答が。
年齢や発達に合った活動や関わり方は大切ですが、それ以上に子どもが楽しく気持ちよく過ごせることが大切です。
臨機応変に関わってくれる保育士が子ども達は大好きです。
危険予測ができる人
保育園の大切な役割の1つは、朝登園したときの状態で怪我なく子どもを保護者のもとに引き渡すこと。保育中の怪我は全て、保育園と保育士の責任です。
跡が残るような大きな怪我は子どもの心の傷にもなりかねません。小さな怪我でも何回も続けば保護者からの信頼を失う可能性も…。
怪我をしない保育環境を整え、怪我の危険を予測する保育士の能力は必要です。
例えば、子どもの手洗い後。周りに水が飛び散っている状態の時には、その水で子どもが滑って転倒する恐れがありますね。子どもが手を洗ったら、その都度床をチェックして拭きましょう。
1歳児クラスで、何人もの子どもが近い場所で同じ玩具で遊んでいたとします。その状態は、1番噛みつきが起こりやすい環境。
噛みつきの多い1歳児クラスでは、子ども達のトラブルを防ぐためにコーナーをいくつかに分けます。コーナーごとに保育士が付けば怪我は確実に減ります。
怪我への危険予測は経験を積まないと難しいかもしれません。しかし「危険な環境はないかな?」と常に気を配ることが大切です。
冷静にものごとを見られる人
冷静な視点で子どもと仕事を分けられる人は、保育士に向いています。
しかし保育士は自分のクラスを持つと、感情的になりがちです。
子ども達にしっかりしてもらいたい思いが強すぎて、感情的に叱ったり。子どものためならばと自分のプライベートな時間も全て保育のことを考えてしまったり。
私も保育士2年目、2歳児クラスを担当した頃がそんな状態でした。1歳児クラスから持ち上がったクラスで、とにかく子ども達が可愛くて仕方なかったのです。
先輩保育士に「最近、子ども達が落ち着かないんじゃない?」と言われただけで「子ども達が悪く言われている」と落ち込みました。子ども達をしっかりさせなくては、と年齢以上のものを求めてしまったこともありました。
子ども達が楽しんで遊べるように、実費でおもちゃを買ったことも。
自分が子どもの親になったかのように考えてしまっていたのです。
しかし保育士は子どもの親ではありません。保育のプロです。
子どもが落ち着かない時は、集中して取り組めるような遊びを提案する。もっと楽しめる環境を作ってあげたいなら、保育教材を購入してもらえるよう園長や主任に提案するべきでした。
子どもと近くなりすぎてしまい、プロとしての冷静な判断ができなくなってしまう。2年目の私も含め、保育経験が浅いうちには陥りやすい状況です。
私は幸いにも的確に指摘してくれる先輩保育士がいたため、自分の子どもへの接し方は間違っていることに早い段階で気付けました。
保育士に向いていない人
では保育士に向いていない人とはどんな人なのでしょうか?私が思う保育士に向いていない人の特徴を紹介します。
子どもと遊ばない人
以前同じクラスを担当した後輩保育士にこんな人がいました。
1歳児クラスの子どもが遊ぶのを、ただ見ているのです。
もちろんトラブル時や、食事や着脱の援助、おむつ替えや寝かしつけなど生活に必要な援助は行います。しかし、それだけでは保育の仕事をしているとは言えません。
「子ども達と一緒に遊んでね」「もっと積極的に関わってみて」と日々助言しましたが、いつになっても見ているだけでした。
こんな状況で子ども達と後輩保育士との関係ができる訳はなく、何か月経っても子どもは保育士のもとにきません。それでも気にしていないのです。
まだまだ大人と遊ぶことを楽しむ時期の子ども達。子どもとの遊び方がわからないのであれば、他の保育士が遊んでいる様子を真似てください。
上手に遊べなくても、「一緒に遊んでくれる先生」と子どもが感じられる関わりが重要です。
人の意見を聞かない人
保育には正解がありません。同じ保育園で働いていても、保育観はそれぞれ違うので意見はぶつかります。
そんな時に相手の意見を聞いて、良いところを受け入れられない人は保育士には向いていません。
例えばこんな人。
- 相手が意見を言った時に必ず「でも…」で返す人
- 協調性を持った保育ができない人
保育園は複数の保育士でクラスを担当します。だから人の意見を聞けないことは致命的。
まずは相手の意見を聞きましょう。その上で同意できる部分と、自分の意見は今まで違ったけれどそういう考え方もあるのだと感心した部分を伝えます。
それから自分の考えも伝えてみると、有意義な意見交換ができますよ。
保育士経験が長くなると、知らず知らずのうちに後輩保育士の意見が聞けなくなってしまうことも。そうならないように、私はまずは後輩保育士の意見を聞くように心がけています。
仕事の優先順位をつけられない人
保育士の仕事は、とにかくたくさん。一度に終わらせようとすると、パニックになります。
- 子どもと関わるべき時間なのに、事務作業をしている
- 降園時間で保護者対応の時間帯なのに、保育室の掃除を始める
- 今日中に終わらせるべき事務作業が終わっていないのに、他の仕事を始めてしまう
仕事が多いと早く終わらせなければと焦る気持ちはわかります。
しかし仕事には優先順位をつけましょう。
1番優先すべきは子どもとの関わり。次が保護者対応。その次に事務作業や制作準備、環境設定などですね。
まずは子ども、次が保護者。事務作業は期限の近いものから、という優先順位を徹底しましょう。
子どもを叱ってばかりの人
私が以前働いていた園に、こうはなりたくないと感じる先輩保育士がいました。
その人はいつもイライラした口調で「早くお着換えをして」「足をそろえて座って」「(お散歩中に)早く歩かないと給食の時間に間に合わないよ」と、とにかく子どもを叱ります。
子ども達は大人から見ると「おりこうさん」な子どもばかりでしたが、委縮している様子が伝わってきました。
子どもの成長のために叱っているというのは大きな勘違い。
自分の感情で常に子どもを叱るのは保育とは呼べません。
叱ることで子どもをしっかりとさせようと思う人は、保育士には向いていません。
- 必要な時に、最低限叱る
- 子どもの良いところや頑張りを認める
- 褒めたり一緒に喜び合う
このように子どもを叱ることが保育士の大切な役割です。
子どもの叱り方に悩みイライラしてしまう人は、保育士なのに子どもにイライラしてしまう…対処法と叱り方のコツも併せて読んでみてください。
向いていないのではなく、園があっていないだけかも
保育士に向いていない人の特徴に当てはまるからと言って、全ての人が本当に保育士に向いていないわけではありません。
以下のような状況の場合、あなたではなく園側に問題があります。
子どもと遊ぶ余裕が出来ないほどの人手不足
子どもと遊ばないのではなく、人手不足で遊べる状態ではない場合。
- やらなければならない雑用が多すぎて、子どもが怪我をしないように見守り、生活の援助をすることで手一杯
- 人手不足で保育士が子どもと遊ぶ余裕がない
こんな保育園はブラック保育園です。
優先順位すら付けられないほど、やるべき仕事が多すぎる
今日中に終わらせるべき仕事が多すぎて、優先順位を付けられる状態ではない場合です。
- 仕事の優先順位がつけられないほど、しなければならない業務が多すぎる
- 雑用ばかり押し付けられる
- 残業しても終わらないほど仕事が多い
このような時は、保育士ではなく園側に問題があります。
園長からのプレッシャーが強すぎる
子どもを叱ってばかりいた先輩保育士も、園長から「しっかりとしたクラスにするように」というプレッシャーを受けていた可能性もあります。
ブラック保育園はその環境に慣れてしまうと、自分の辛さに気付けなくなります。
「何かおかしいな」と思ったら、こんな保育園はすぐ辞めるべき!怖すぎるブラック保育園の見抜き方を参考に一度客観的に職場を見てください。
自分に合った環境の保育園に転職すると「保育士に向いていないのでは?」という悩みもなくなりますよ。
まとめ
自分は保育士に向いているのだろうか?それとも向いてないのだろうか?
保育士を続けていると何度もぶつかる壁です。
1番大切なことは「子どもが好き」「子どもと関わりたい」という気持ちを持っているのかということ。
子どもが好きなのにも関わらず、保育士に向いていない特徴が自分には多いと感じたら、今の職場はそうならざるを得ないブラックな環境なのかもしれません。
「保育士に向いていない」と決めつけずに、転職をして新しい環境で力を発揮してみてくださいね。
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