保育士が保護者からのクレームを回避する方法

保育士が保護者からのクレームを回避する方法

保育士の仕事として大切な、保護者対応。

保護者との関係はそのまま子どもとの信頼関係に繋がりますので、良好な関係を築きたいところ。

しかし保護者になかなか信頼してもらえなかったり、保育内容についてクレームを言われると、どうすれば良いのか悩むことはありますよね。

私も新人保育士の頃は、保護者のクレームに悩んだことがあります。

その経験から、保護者にクレームを言われたときの対応方法、そしてトラブルを回避し良好な関係を築くためのコツを紹介します。

新人保育士だった頃の私が受けた保護者からのクレーム

私が実際に保護者から受けたクレームです。

子どもの足に2か所蚊に刺されがありました。
朝はなかったのですが、いつ刺されたか分かりますか?
帰宅後に子どもの髪の毛にガムが付いていることに気が付きました。
自宅で洗いましたが、すごく大変で…。保育園で付いたとしか考えられません

(迎えにきたおばあ様の洋服にガムが付いていて、それが髪の毛に付いたようだと、翌日謝罪がありました。)
自宅で昼寝をする時にはもっと長時間眠るのに、保育園の昼寝は短いようで子どもの体調が心配です。もっと静かな環境を作ってください
今年に入ってもう2回も、他の子どもに噛みつかれています。直接子どもの親と話したいので、どの子が噛んだのか教えてください
(1歳児クラスで)
写真販売の写真に写っている我が子の表情が気に入りません。他の保護者の方にも見られたくないので削除してください
着替え後の洋服のセンスが気になります。降園後に出掛けることもあるので、上下のどちらかが汚れたとしても、こちら(保護者)で用意をした一式のセットで着替えさせてください

連絡帳でのクレームもありましたし、登降園時に直接言われたり、保育中に電話が掛かってきたこともありました。

保護者からのクレーム対応のコツ

保護者からのクレーム対応のコツ
保護者からクレームを受けた時にどのように対応できるかで、その後の保護者との関係が左右されると言っても過言ではありません。

私がクレーム対応で心がけたことを紹介します。

真剣な表情で保護者の話を聞き、真意をくみ取る

まずは保護者の話を最後まで聞き、真摯に受け止めましょう。

途中で意見を言う必要はありません。
この時は笑顔を封印し、真顔で時々相槌を打つと真剣さが保護者に伝わります。

保護者は1つのことに対してクレームを言いますが、実は他にも不満があって保育園や保育士にクレームを言っている場合があります。
保護者がクレームとして言っていることにのみが不満なのか、他にも不満があるのかを話の中からつかみ取ってください。

否定したり反論しない

クレームに対して「でも…」と否定や反論をすると、保護者の怒りはヒートアップ。
たとえ間違っていると感じることでも、否定や反論は控えましょう。

例えば私が受けた「髪の毛にガムが付いていた」というクレームでは、絶対に保育園で付いたのではないという確信がありました。

しかし、反論はせずに保育中にガムを食べている保育士や子どもがいないことを伝え、保育園としてもどこで付いたのかわからないという姿勢を保ちました。

ガムを取るのが大変だったという保護者の苦労をねぎらうことも忘れないようにしました。

保護者のクレームを全否定しなかったことで、翌日に自分から間違いを伝えてもらえました。

具体的な解決策を提示して納得してもらう

保護者としては、保育園や保育士に対して改善してもらいたいという思いでクレームを言っています。
そのため、具体的な解決策を提示して納得してもらうことが一番のクレーム対応です。

噛みつきのクレームを受けたら「保育中の怪我は全て保育園の責任です」とまずは謝罪。

その上で、
「噛みついた子どもの名前をお伝えすることはできませんが、再度噛みつきが起こらないように、補助の保育士がクラスに入り1体1での対応を心がけます。」
と保育園側からの解決策を提示する。

これは実際にあった体験談です。

その後は一度も噛みつかれることはなく、数か月後には「今は安心して通わせています」と言うお言葉をいただきました。

蚊に刺されに関するクレームでは、登園時と散歩後、降園前に蚊に刺されのチェックをして保護者に伝えるように。
保護者としても、蚊に刺されないようにしてほしいという意味ではなく、子どもの様子を詳しく把握して伝えてほしいという意味だったからです。

解決策を提示することで終わりではありません。
提示したら実際の保育でそれを実現することが大切です。

新人保育士は先輩や園長に相談する

クレームを受けた時に、自分だけで解決しようとすると、さらに大きなクレームに繋がりかねません。

新人時代は特に「報連相」を大切に。
先輩や園長にどんどん頼って良いのです。

保育士歴が長ければ、その分クレームを対処する方法を知っています。

実際に私が新人保育士の頃に受けたクレームは1人で解決したわけではありません。
先輩に相談をして、それでも解決できない時には園長に相談をして、少しずつ対応方法を自分のものにしていきましょう。

また、新人保育士と言うだけで保護者は不安を感じています。
その不安からクレームが発生することも…。

そんな時には、先輩保育士や園長に間に入ってもらうことで保護者の気持ちが落ち着くこともあります。

保護者とのトラブル回避のコツ

保護者とのトラブル回避のコツ
日頃から保護者とのトラブル回避の対応をすることは、クレームの回避につながります。
どのような部分に気を付けて対応するべきかを紹介します。

コミュニケーションをとる

保護者との密なコミュニケーションは、信頼関係作りの第一歩です。

登降園児には必ず笑顔で挨拶。
子どもへの挨拶は名前を呼びながらすると、子どもも喜びますし保護者も良い印象を持ってくれます。

密なコミュニケーションと言うと、友達のようにざっくばらんな関係を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、あくまでも保育士と保護者という立場はわきまえて。
丁寧な言葉遣いや挨拶を心がけましょう。

保護者の話を聞く

子どもとの関わり方や生活習慣についてなど、子育てについて悩み保育士に話を聞いてもらいたいと思っている保護者は多くいます。
その思いを保育士に伝え、相談ができる保護者は良いのですが、中には保育士が忙しそうなので話しかけられないという方も…。

保護者から話しかけられたときは、信頼関係を築くチャンス!
じっくりと話を聞いてあげてください。

忙しい時間帯でゆっくりと話が聞けない時には、別の日に改めて時間を設けると良いでしょう。

自分からはなかなか話ができないという保護者に対しては、保育園での様子を話した上で「お家での様子はいかがですか?」と様子を聞いてみてくださいね。

悩みに対するアドバイスをした時には、何日か経って「その後の様子はいかがですか?」と声をかけるようにしましょう。

保育士が気にしてくれていることを、保護者は嬉しく感じてくれますよ。

保護者を褒める

褒められて嫌な気持ちになる保護者はいません。
褒める時は具体的に褒めましょう。

「〇〇ちゃんが、毎日寝る前にお母さんが絵本を読んでくれていると教えてくれました。素敵な習慣ですね。」
など、子どもとの関わりを褒める

保護者をうまく褒められるようになると、「保育士が自分の育児を認めてくれている」と誇らしい気持ちと親近感を持ってもらえますよ。

園での子どもの様子を伝える

保護者は園での我が子の様子が見えないことに不安を抱いています。

  • 自分の子は先生に可愛がってもらえているだろうか?
  • 先生やお友達と楽しく過ごしているのだろうか?

見えないからこそ、保育士に求めることが増えるのです。

保護者の不安を解消できれば、クレームを受けることはなくなります。

具体的に園での様子を伝えるようにしましょう。

降園時には「今日もお散歩に行って元気に遊んでいました。」ではなく、
「今日はお散歩に行ったら、お花を見つけて、白、ピンク、黄色と嬉しそうに色を教えてくれました。」
など、その子ならではのエピソードを伝えてあげる。
「今日は、苦手なお野菜にも1口挑戦することができましたよ」
「お友達とのやり取りが上手になり、かしてやどうぞと身振りで思いを伝えながら遊んでいました」
など、子どもの良いところをたくさん保育中に見つけて伝えてあげる。

子どもの良いところを中心に保護者に伝えるようにすると、保護者と良好な関係が築けますよ。

感謝の気持ちを伝える

保育士は保護者から感謝の言葉を言われることが多いですが、保育士から保護者に感謝の気持ちを伝えることも大切です。

遠足や運動会では、「朝早くからお弁当作りにご協力いただきありがとうございました」と行事への協力のお礼を言う。
クレームまではいかなくても意見をいただいた時には、
「貴重なご意見ありがとうございます。保育に活かさせていただきます」
と意見に対するお礼を言う

保護者への感謝の言葉は、良好な関係作りに重要ですよ。

まとめ

まとめ
保護者とのトラブルを回避し、良好な関係を作るためには日頃のコミュニケーションが大切です。

クレームを受けた時こそ冷静に。保護者の話を聞き、子どもの園での様子をしっかりと伝える。
そして子どもだけではなく保護者の良い部分を見つけて感謝の気持ちを伝えてください。

保護者からのクレームに悩んだ時には、先輩や園長に相談するのが基本。
自分だけで抱え込まず、保育の先輩から対応方法を学び保護者対応の幅を広げていってくださいね。

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