保育園は上下関係が厳しい世界。
もちろん新人保育士や後輩保育士の成長のために、指導をしている場合もあります。
しかし、「先輩保育士が言うことは絶対」「園長が言うことには逆らってはいけない」という暗黙の了解が出来上がっている場合も…。
園長や先輩というい立場を振りかざして、保育士に理不尽な要求や行き過ぎた叱責を行うことは指導ではなく、パワハラ。
自分がパワハラ、モラハラの対象になっているのでは?
そう悩んでいる保育士さんへ。
そもそも保育園でのパワハラやモラハラとは、どんな状態なのか?
保育士がパワハラ・モラハラから抜け出す方法について紹介します。
保育士が職場で受けやすいハラスメント
ハラスメントとは、嫌がらせやいじめなどで相手の尊厳や人格を侵害する行為です。
多くのハラスメントの中で、保育士が受けやすいのがパワーハラスメントとモラルハラスメント。
いわゆるパワハラとモラハラです。
それぞれについて詳しく見ていきます。
職場内の立場を利用して威圧する、パワハラ
パワハラとは、園長や先輩保育士など、職場内の立場を利用して行き過ぎた叱責や理不尽な要求を行う行為です。
- 理不尽な要求
- 他の職員のいる前で怒鳴り叱責する
- ミスを押し付ける
園長から理不尽な要求をされた時に、NOと言える保育士はいるでしょうか?
多くの保育士は、理不尽に感じながらも我慢をして要求を受け入れます。
これは、園長という立場を利用したパワハラです。
精神的暴力、モラハラ
モラハラとは、言葉や態度で表される精神的な暴力です。
パワハラとの違いは、職務上の立場が関係しているかどうか。
パワハラは、上司や先輩から部下へ行われるのに対して、モラハラは立場に関係なく行われます。
保育園においてもまれではありますが、園長や先輩保育士からだけではなく、同期入社の保育士同士や後輩保育士から先輩保育士に対してモラハラが行われる場合も。
- 特定の人物だけを無視し続ける
- 嘘の報告や引継ぎをして相手を陥れる
- 嫌味や暴言を吐く
同期入社の保育士同士でも、特定の保育士のみを無視したり、相手の立場を陥れようとする行為はモラハラに当たります。
大人のいじめですね。
保育園内のこんなルール・言動も、パワハラに当てはまる!
保育園内では他にも様々なハラスメントが行われています。
特に多いのが、園長や先輩保育士から受けるパワハラ。
私が実際に受けたパワハラも紹介します。
子どもを産んではいけない雰囲気
結婚して子どもを望んでいるにも関わらず「年度途中で産休なんてことにならないようにね」とくぎを刺される。
これもパワハラです。
私が初めに勤めていた保育園では、年度途中に産休なんてもっての他という雰囲気で、産休を取った人は1人もいませんでした。
そのため、結婚と同時に退職が当たり前の流れに。
園長が言うことは絶対という雰囲気の中では、その流れを変えることは不可能でした。
休日出勤の強要
休日出勤を強要し振替休日も取得させない体制は、パワハラに当たります。
- 勤務中には確実に終わらない仕事量にも関わらず、「まだ終わっていないの?休日も出勤して終わらせなさい」と休日出勤を強要する。
- 行事などで休日出勤があるにも関わらず、振替休日を取得させない。
決められた休日の取得は働く人の権利です。
それを園長の実権で奪うことは許されません。
子どもの前で怒る・嫌味を言う
どんな保育士でも、子どもの前では保育士としての自分を作っています。
保育士は子どもにとって尊敬できる存在でいる必要があるからです。
子どもが目の前にいるにも関わらず、園長や先輩保育士に怒られたり嫌味を言われると、子どもからの信頼を失います。
保護者の前でも同じです。
保護者に保育士が怒られている場面を見せることは、「頼りない保育士」という印象を与え、大きなリスクがあります。
その部分を考えずに、どんな状況でも怒鳴ったり叱責する園長や先輩保育士の行為はパワハラです。
仕事を与えない
私が新卒で働き始めた保育園に、園長から嫌われている先輩保育士がいました。
確かに新人保育士から見てもその先輩保育士の保育はぎこちなく、子どもと遊ぶのが苦手な様子。
しかし、いつも一生懸命に仕事をしていましたし、新人保育士に対しても優しく接してくれる良い先輩でもありました。
園長はその先輩保育士のことがとにかく嫌いで、見ていて可哀そうになってしまうほど。
特に酷かったのが「仕事を与えない」ことでした。
- 行事の係をその先輩保育士だけは割り当てない
- クラス担任を持たせない
- 1人だけ掃除をさせる時間が長すぎる
新人保育士もクラス担任を持ち、行事の係を任されている中で、自分だけが責任のある仕事をさせてもらえないことはかなり辛い状況です。
1人の保育士をターゲットにして、ストレス解消をしているようにも感じました。
恐怖を与えて自分の思い通りにしようとする行為
パワハラをする人の中には、恐怖を与えた後に優しく接し、自分の思い通りに動かそうとする場合も。
私が短大2年の時に、初めて内定をもらった保育園をお断りした経験があります。
その理由が恐怖を与えて自分の思い通りにしようとする園長の様子が怖く、働くことはできないと判断したからです。
その保育園では、内定をもらった直後から研修が始まりました。
「明日は研修だから〇〇時に来るように」と研修前日に突然の連絡。
特に研修内容は知らされません。
何もわからないまま決められた時間の10分前に来園すると、「出勤は15分前と決まっている」と突然怒鳴られました。
その時点で恐怖を抱えたまま、他の保育士に混ざっての保育。
そして、研修後には園長室に呼ばれました。
そこで待っていたのは打って変わって満面の笑みの園長。
手のつなぎ方を教えてあげると手を握られたまま話をされたり、子どもの鼻のかみ方を教えてあげると実際に鼻を触られました。
かなりの嫌悪感がありましたが、出勤時に怒鳴られたことが忘れられず、「やめてください」という勇気はありませんでした。
その後も何度か研修に出向きましたが、園長から電話がかかってくると恐怖で手が震える状態に。
このまま働くことはできないと判断し、内定はお断りしました。
恐怖を与えて、相手を自分の思い通りにしようとする行為。
これもパワハラの1つです。
パワハラ・モラハラから抜け出す方法
自分がパワハラ・モラハラを受けていると感じた時に、その状況から抜け出す方法を紹介します。
パワハラ・モラハラの証拠を残す
パワハラやモラハラは身体に与える暴力とは違い、証拠が残りづらいことが特徴です。
例えば、先輩保育士から子どもの前でも怒鳴られる、酷い嫌味を言われる、などのパワハラを受けていることを園長に相談しようとしても、証拠がないので信憑性にかけます。
そんな時には、パワハラの様子をできるだけ細かく日記につけて残すことが大切です。
- どんな嫌味をいつ言われたか
- 理不尽な理由で怒鳴られた様子
- その時に自分がどんな気持ちだったか
パワハラの状況とその時の自分の気持ちを具体的に書き記しておきましょう。
私の場合は内定を断る旨を大学に伝える時に、園長からの着信履歴とパワハラの様子を書き記したものを持参したことで、スムーズに内定を断ることができました。
客観的な意見を聞く
パワハラをする人の中には、頻繁に酷い暴言を吐いた後に「あなたのためを思って言っているのよ」と、いかにも指導のために言っていると伝えてくる人もいます。
そう言われると、本当に自分のためを思って言ってくれているのでは…と自信がなくなってしまうことも。
しかし、頻繁な暴言によって心が傷ついていることは事実。
指導に暴言は必要ありません。
パワハラかどうか自信がないという時には、家族や友人など職場とは関係ない人に暴言の様子を伝え、客観的に判断してもらいましょう。
「自分のためを思ってくれているから」と我慢し続けると、いつか心が折れてしまいます。
NOと言える勇気を持つ
私が新人保育士の頃に一緒に組んでいた先輩保育士に、自分にも他人にも厳しい方がいました。
怖い存在ではありましたが、間違っていることは例え園長であっても「NO」とはっきりと言ってくれるのです。
園長に怒鳴られてもその先輩は臆することなく、正論を突きつけます。
園長はさらに怒りますが、どこかで先輩保育士のことを一目置いていて、私たちの前で「あの先生みたいな存在が必要」と言うこともありました。
パワハラをする園長や先輩保育士を前にすると、どうしても委縮してしまいます。
しかし自分の方が正しいと確信しいている時には、言い返すことで状況が変わる可能性もあるのです。
転園する
酷いパワハラやモラハラによって体調を崩したり、保育に支障が出ている場合には、転職をして環境を変えることも1つの方法です。
- パワハラを受けている園長や先輩保育士を前にすると身体が震える
- 出勤しようとすると体調が悪くなる
- 子どもの前でも怒鳴られ保育に支障がある
「自分だけの力ではどうにもできない」と感じたら、園長が保育士の立場に立って考えてくれる保育園、先輩と後輩が良好な関係を築いている保育園を探してください。
全ての保育園でパワハラがあるわけではありません。
実際に私が転職後に働いていた保育園ではパワハラは全くなく、園長に怒鳴られている保育士は1人もいませんでした。
人間関係が良好な保育園に転園できれば、パワハラに悩まされずに働けますよ。
まとめ
常にパワハラを受けていると「自分が悪いのではないか」と自分を責める気持ちが生まれます。
しかし、どんな理由があってもパワハラをして良い状況などありません。
酷いパワハラやモラハラに耐えているうちに、心が壊れうつ病の症状を引き起こす可能性も。
そんな状態になる前に、パワハラやモラハラから逃れる勇気を持ちましょう。
保育士として、自分らしく働き続けるための参考にしてくださいね。
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